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オンライン授業、マスクを着用しての登校、毎日の検温...。COVID-19 がもたらした教育現場の変化を、私を含む多くの学生が経験したことと思います。では、感染症対策を特に徹底する必要がある子どもたちへの教育現場はどうなっているのでしょうか？
今回取り上げる、重度の知的障害と肢体不自 由の両方をもつ子ども（重症心身障害児）の中には、重症化リスクが高い人もいて、特に感染症対策を徹底する必要があります。」コロナ禍における重症心身障害児教育について研究している橋口瑶子さんにお話を聞きました。
重症心身障害とは？
重度の知的障害(記憶、推理、 判断などの知的機能の発達の遅れ)と重度の肢体不自由(日常生活の動作が困難な状態)の両方を伴っている障害のことを重症心身障害と言います。このような障害を持つ人は、常にたんの吸引や酸素吸入などの医療的ケアが必要で、ケアを受けながら在宅で暮らす人もいれば、病院や施設で暮らす人もいます。橋口さんは、学部生のころ病院に行った時に初めて重症心身障害児に出会いました。ほとんど寝たきりで言葉を話すこともなく、「この方達は何を考えて生活されているんだろう」と思ったそうです。この疑問から出発し、学部時代から継続して重症心身障害に関する研究を行っています。
全国の特別支援学校に協力を依頼
橋口さんは、教育の指針となる研究結果があれば、現場の先生方の役に立つのではという思いから、COVID-19が重症心身障害児の教育現場に与える影響についての研究をスタートさせました。
最初に全国の肢体不自由･病弱特別支援学校に質問紙を配布し、重症心身障害児の担当教員に、現在の状況について回答してもらいました。質問内容は「重症心身障害児の変化や行動を捉えるために着目していた点」や「重症心身障害児の指導の困難さ」について感染拡大以前と以後で変化したかということや、「2020 年 3 月からの一斉休校の影響」、「現在行っている感染症対策」についてとしました。
コロナ禍前後で何が変わったのか？
現在、回答結果を分析している最中ですが、先生たちの回答からいくつか分かってきたことがあります。
ひとつは、コロナ禍で医療者と教員の連携が取りにくくなっていることです。重症心身障害児の教育には医療的ケアが必須です。しかし、医療者が多忙になったり、病棟間移動が難しくなったりすることで、連携のための会議が減ってしまったといった例がありました。また、感染防止のため、子どもたちが病棟を超えて一緒に勉強することができないという現状も見えてきました。
調査から、重症心身障害児の教育に特有の困難さがあることが明らかになりつつあります。感染の収束が見えない中で、このような研究結果は教育現場の指針となりそうです。